有線七宝~イシス女神~

古代エジプトの女神イシスを色鮮やかな七宝焼きで表現しました。
古代エジプトで実際に使われていた色彩に捕らわれることなく、自由にインスピレーションに従って色彩をチョイスしている作品です。
七宝の技法を使うことで美しい古代の女神を表現できたと思っています。

ワクワクご覧いただけましたら嬉しいです。

1作目のイシス女神

1作目のイシス女神

大好きなイシス女神の白髪バージョンの壁画(ネフェルタリ王妃のお墓にある壁画です)を有線七宝の作品にしたくてチャレンジしてみました。
壁画の通りに背景にはヒエログリフを描き、表現してみたのですが・・・。
イシス女神の表情や全体のバランスが好みの状態に仕上がらず・・・。
一作目はお蔵入りとすることになりました。
七宝作品は、やってみないと仕上がりがわからない、という点もあり、今回は正にそのような感じになってしまいました。

背景のピンクとパープルのコンビネーションは好きなので、この色合わせは次作にも反映させようと思いました。

図案を再考案して銀線を立てる

図案を再考案して銀線を立てる

図案を練り直しった2作目のイシスさまです。
頭上には古代エジプト風の星々が瞬き、左サイドに上昇する上向きのモチーフをデザインしました。
ヒエログリフも程よい感じで配置して、アンクも加えました。
一作目でイシス女神をデフォルメし過ぎてしまったので、しっかりとイシス女神のパーツ(銀線)を作り込んでいます。

納得のいくスタイルに銀線を立てることができたので、釉薬をのせていきます。
背景の色合いは、夜空の青から紫、そしてピンクという色彩に変更しました。

釉薬をのせていく

釉薬をのせていく

どんどん釉薬をのせていきます。

一番気を使う点は、釉薬の「赤」と「黒」。
赤色の釉薬は焼く前の細かい粒状の状態の時は白っぽい色をしているのです。
ですので気付かずに釉薬が別の所にはみ出していたりすると、赤が混ざって焼きあがってしまった・・・という事も起こりやすいです。
黒色は色彩の中でも最も重く濃い色味なので、目のような小さな部位に使う際は緊張します。

肌色や白髪の白色、衣装にチョイスしたパープルは半透明の釉薬を使っています。
半透明の釉薬は気泡が入りやすいという点で緊張しますね。

一回目の焼き上がり

一回目の焼き上がり

一回目の焼き上がりはこのような感じ。

色合いのバランスも好みの感じでホッとする瞬間。
イシスさまのお姿も、一作目よりもかなり改善されてお気に入りのお姿にすることができたと思います。
イシスさまの乗っている座面のモチーフは、一作目に色彩を組み合わせ過ぎた為、その部分だけが際立ってしまったので、今回は中心部を白色で落ち着かせることでまとめました。
良い感じに仕上がりそうで嬉しい瞬間。
ピンクとパープルの背景も好みのイメージです。
ヒエログリフのグレーカラーは、何度も重ねて焼くと色味が好みの色合いにならなかったので、グレーは一度だけつかい、その上には白透(透明の釉薬)を重ねることで良い雰囲気を演出しています。

焼き上がり直後

一回目の焼き上がり

焼き上がり直後の状態です。

800度の炉から取り出して直ぐの状態です。
焼いた直後の状態から、徐々に冷めていく行程で実際の色彩が見えてくるのを眺めているのがとても楽しい。
ワクワクする時間です。
焼きあがった後は、ヤスリがけをして艶々に仕上げていきます。




完成したイシス女神の有線七宝

有線七宝~イシス女神~

心から気に入る仕上がりになりました。
こちらの作品は、スコロライトとシルキースピネルと組み合わせたペンダントになります。
ご紹介する日を楽しみにしていただけると嬉しいです。
ご覧いただきましてありがとうございました。